レンタカーとマイカーの損益分岐点とは?

「車を持つべきか、レンタカーで済ませるべきか」という悩みは、多くの人が一度は抱えるものです。特に都市部では公共交通が発達しているため、車の利用頻度が低いと「マイカーは本当に必要?」と考えるきっかけになります。一方で地方や通勤利用が多い人にとっては、レンタカーでは不便さが勝ってしまうこともあります。
ここで重要になるのが損益分岐点(ブレークイーブンポイント)です。すなわち「年間走行距離や利用日数がどのラインを超えるとマイカーの方が得なのか」を見極めることです。

マイカーとレンタカーの費用構造の違い

まず、両者の費用の性質を整理しましょう。

マイカーのコスト(固定費+変動費)

  • 固定費:自動車税、車検代、任意保険料、駐車場代、ローン返済(または購入費用の減価償却)
  • 変動費:ガソリン代、メンテナンス(オイル、タイヤ、消耗品)、高速代

特徴は利用頻度が少なくても固定費が必ず発生することです。特に駐車場代が高い都市部では大きな負担となります。

レンタカーのコスト

  • レンタル料金(時間単位・日単位)
  • ガソリン代
  • オプション費用(保険、カーナビ、チャイルドシートなど)

こちらは使った分だけ支払う従量課金型。車を使わない期間は一切費用が発生しないのが強みです。

損益分岐点を見極める具体的な目安

では、どのくらい利用するとマイカーを持った方が得になるのでしょうか。これは年間利用日数年間走行距離で判断するのが分かりやすいです。

年間利用日数を基準に考える

  • 年20日以下の利用:レンタカーがお得。月1〜2回程度なら維持費のかからないレンタカーで十分。
  • 年50日程度:判断が分かれるゾーン。駐車場代や保険料が安い環境ならマイカーも選択肢に。
  • 年100日以上:マイカーがお得。週2回以上の利用があるなら、レンタカー代が高くつきやすい。

年間走行距離を基準に考える

  • 〜3,000km/年:レンタカーで十分。買い物やたまのドライブ利用ならコストを抑えられる。
  • 5,000〜10,000km/年:生活スタイルや駐車場代次第で損益分岐が変動。
  • 1万km以上/年:マイカーの方が得。通勤や営業利用がある人は所有する価値が高い。

競合にない視点:単純比較では見落としがちな要素

検索上位の記事では「費用の比較」が中心ですが、実際の判断にはお金以外の要素も大きく影響します。

  • 自由度:マイカーなら「思い立ったらすぐ使える」。レンタカーは予約・返却の手間がある。
  • 急な用事:病院の送迎や災害時など、突発的な移動が多い人はマイカーの安心感が強い。
  • ライフイベント:子育てや介護の有無で必要性が大きく変わる。チャイルドシートを毎回レンタルするのは不便。
  • 保険の柔軟性:マイカーなら任意保険を自由に設計可能。レンタカーは業者指定の保険に限られる。

自分で損益分岐点を計算する方法

具体的にシミュレーションしてみると判断しやすくなります。

ステップ1:マイカーの年間固定費を算出

例:駐車場(月2万円×12=24万円)、任意保険6万円、自動車税3.5万円、車検・整備費用6万円/年 → 合計約40万円。

ステップ2:レンタカー利用料を想定

例:1日7,000円×月3回×12ヶ月=25万円。ガソリン代はどちらも走行距離に比例するため、比較のため一旦除外。

ステップ3:比較

このケースでは年間36回(約3日に1回)以上レンタルするならマイカーの方が得。それ以下ならレンタカーがお得、という結論になります。

未来視点:カーシェア・サブスクとの違い

最近では「カーシェア」や「定額カーリース」も普及しており、単純にレンタカーかマイカーかの二択ではありません。特に都市部ではカーシェアが損益分岐点をさらに低くし、週1回程度の利用ならカーシェアが最も経済的になるケースもあります。

追加の独自視点

  • 心理的価値:「自分の車を持つ満足感」や「所有欲」も無視できない。
  • 災害時の避難手段:災害多発地域ではマイカーが命綱になることもある。
  • 副収入化:マイカーをカーシェアに出すことで一部コストを回収できる(例:Anycaなど)。